もし、あなたの持っている物理の教科書に「この反応は起きない(確率はゼロである)」と書かれているページがあったとして、ある日AIが「いいえ、特定の条件なら起きますよ。式も証明しておきました」と言ってきたら、あなたはどう思いますか?
2026年2月13日、まさにそのようなSF映画のような出来事が現実のものとなりました。
OpenAIが発表した最新モデル「GPT-5.2」が、素粒子物理学において50年以上も「ゼロ」だと信じられてきた定説を覆し、新たな物理法則(公式)を発見したのです。しかも、ネット検索ではなく、自らの「思考」によって。
これは単なる計算速度の勝利ではありません。「科学的発見」という、人間だけに許された聖域に、AIが足を踏み入れた瞬間なのです。今回は、このニュースがなぜ世界中の科学者を震え上がらせているのか、その全貌をわかりやすく解説します。

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50年間、誰も疑わなかった「ゼロ」の呪縛

今回の発見の舞台となったのは、素粒子の世界です。原子核の中でクォーク同士を結びつける「グルーオン」という粒子があります。このグルーオン同士が衝突してどう散乱するかを計算するのは、物理学の基本中の基本です。
物理学の世界には「ヘリシティ(らせん性)」という概念があります。大雑把に言えば、粒子の回転の向きです。 これまでの教科書的理解では、「1つだけ回転が逆(マイナス)で、残りが同じ(プラス)」という特殊な組み合わせ(Single-minus配置)の場合、計算結果は「ゼロ」になるとされてきました。
「計算するだけ無駄、どうせ消えるから」
それが、半世紀にわたる物理学者たちの共通認識でした。あまりに当たり前すぎて、誰もそこを深く掘り下げようとはしなかったのです。いわば物理学の「死角」でした。
AIが見つけた「隠された抜け道」

しかし、GPT-5.2はその死角を見逃しませんでした。
AIは、人間が見落としていた「Half-collinear(ハーフ・コリニア)」と呼ばれる極めて特殊な領域に着目しました。これは、粒子の運動量が一直線に近い形で整列する、非常に稀な状態です。
「一般的な条件では確かにゼロかもしれない。でも、この特殊な整列状態(Half-collinear)に限っては、相互作用は消えない。ゼロではない」

AIはそう主張しました。 例えるなら、「どんな攻撃も無効化する」と思われていた鉄壁のバリアに、ある特定の角度から針を通すと貫通してしまう「抜け道」があった、そんな発見です。
検索ではなく「思考」:奇跡の12時間

このニュースの最大の衝撃は、発見された事実そのものよりも、「どうやって発見したか」にあります。
教科書に載っていないことですから、当然、インターネットをどれだけ検索しても答えはありません。GPT-5.2は、以下の3つのステップで、人間と同じように悩み、考え、答えを導き出しました。
1. 複雑な式を「圧縮」する
まず、人間が計算したデータ(粒子数が6個までの複雑な式)を読み込ませました。AIはこの複雑怪奇な数式の山から、人間には見えなかった「シンプルな法則性」を抽出しました。
2. 「推測(Conjecture)」という飛躍

次に、AIは驚くべき行動に出ます。「このパターンなら、粒子が何個に増えても通用する『一般公式』はこれではないか?」と、未知の数式を「推測」したのです。これは計算機というより、直感を持った科学者の振る舞いです。
3. 独力での「証明(Proof)」

そして極めつけがここです。推測だけなら「AIのハルシネーション(嘘)」かもしれません。しかし、GPT-5.2に搭載された推論モデルは、そこから約12時間をかけて、自らが立てた仮説が数学的に正しいことを証明し続けました。
外部の助けを一切借りず、論理の積み上げだけで、「なぜこの式が正しいのか」を説明する証明書を書き上げたのです。
人間による「最強の検算」

もちろん、AIが出した答えを鵜呑みにすることはできません。ここからが人間の出番です。
OpenAIの研究チームや物理学者たちは、AIが導き出した新公式を、物理学の厳密な手法(Berends–Giele再帰関係やソフト定理など)を使って徹底的にテストしました。あらゆる角度から「矛盾がないか」を叩いて検証した結果、AIの答えは「物理的・数学的に完全に正しい」ことが判明しました。
50年間「ゼロ」だと思われていた場所に、実は美しい数式が隠れていた。それをAIが掘り起こし、人間が確認した。まさに、人間とAIの協働による歴史的快挙です。
(※なお、この成果は現在「プレプリント」として公開されており、今後、学会による正式な査読プロセスを経て確定されます)
なぜこれが「歴史的」なのか

「素粒子の細かい話なんて、生活に関係ない」と思われるかもしれません。しかし、この出来事が示唆する未来は、私たちの想像を遥かに超えています。
これまでAIは、人間が書いた文章やコードを学習し、それを「再構成」する道具でした。しかし今回、AIは「人類がまだ知らない知識」を自力で発見できることを証明しました。

これは、創薬、材料開発、エネルギー問題など、あらゆる分野に応用可能です。「人間には思いつかない解決策」をAIが提示し、人間がそれを検証する。そんな新しい科学のサイクルが、今まさに動き出したのです。
GPT-5.2が見つけたのは、単なる素粒子の数式ではありません。「AIは創造的な発見ができるか?」という問いに対する、力強い「YES」だったのです。

参考文献・情報ソース
【一次情報:ニュース・発表】
- ビジネス+IT(核となる記事) https://www.sbbit.jp/article/cont1/180888
- OpenAI 公式発表 (2026/02/13) New result in theoretical physics https://openai.com/index/new-result-theoretical-physics/
【論文・プレプリント】
- arXiv プレプリント Single-minus gluon tree amplitudes are nonzero https://arxiv.org/html/2602.12176v1
【技術背景・関連研究】
- SAGEX Review on Scattering Amplitudes (CERN) 散乱振幅研究の包括的なレビュー(Chapter 1-2参照) https://cds.cern.ch/record/2807004/files/document.pdf
- SciPost Physics Codebases Berends–Giele再帰関係と多粒子振幅計算の基礎 https://scipost.org/SciPostPhysCodeb.3/pdf
- Soft Theorem (APS Physics) ソフト極限における振幅の振る舞いについて https://link.aps.org/doi/10.1103/PhysRevLett.122.071601
【海外・国内の反応】
- The Quantum Insider AI Scientist Spots What Physicists Missed in Gluon Scattering https://thequantuminsider.com/2026/02/13/ai-scientist-spots-what-physicists-missed-in-gluon-scattering/
- GIGAZINE https://gigazine.net/news/20260216-openai-gpt-5-2-theoretical-physics/

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