Nano Banana Pro(Gemini 3 Pro Image Preview)で漫画を作るとき、成果を左右するのは「キャラの一貫性」「画面の単調回避」「日本語文字の安定」です。ここでは、その3点を成立させるために必要な工程とテンプレートを、制作順にまとめます。画像生成は“当たり外れ”が出ますが、工程を固定すれば外れを引いた時の戻し方も固定でき、結果として完成率が上がります。

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先に決める:使う場所(UI)で“できること”が違う

同じNano Banana Proでも、Geminiアプリ/AI Studio/API/サードパーティUIで、触れる設定が変わります。特に差が出るのは、参照画像の強度(Image Weight/Strength)やSeed固定、部分修正(マスク編集)です。記事内では、これらを「できる環境では使う」「できない環境では別の固定策で代替する」という書き方に寄せます。ここを断言すると、読者側の環境で再現できず破綻します。

キャラクター固定の技術体系(Consistency)

キャラ固定は、生成中の工夫ではなく、制作前に“基準”を作って縛る工程です。ページを跨いで別人になるのは、参照が弱いというより「基準が曖昧なまま角度と表情を増やしている」ことが原因です。基準画像+固定定義文の2本柱で縛ります。
事前に「三面図(Character Sheet)」を作る
漫画に入る前に、参照用の三面図を1枚作ります。正面・側面・背面を同一画像内に並べ、背景は白、表情はニュートラル、ポーズは直立に寄せます。ここで演出(派手な影、ドラマチックな光、背景情報)を入れるほど、基準としては弱くなります。三面図は「地味で強い」が正解です。
三面図プロンプト(例)
character sheet, three views (front, side, back),
[character features], neutral expression, standing pose,
white background, clean lineart, high detail, consistent proportions
生成できた三面図は、以後の全ページで参照画像として使います。これが漫画全体の“絶対基準”になります。
固定定義文(Master Description)を作り、毎回“全文”を貼る
参照画像だけでは、コマ数が増えるほど揺れます。文章でも固定します。重要なのは「毎回同じ文章を全文貼る」ことです。短縮、言い換え、順序変更をするとブレます。
外見定義は、次の順序で固定し、同義語を混ぜません。髪や服の表現を毎回変えると、モデルは“別衣装・別髪型”として解釈しやすくなります。
Master Description(テンプレ)
[CharacterName], [age range], [body type], [skin tone].
Hair: [color], [length], [style]. Eyes: [color], [shape].
Face: [eyebrows], [nose], [mouth]. Distinct features: [mole/scar/etc].
Outfit: [top], [bottom], [shoes]. Accessories: [items].
Overall vibe: [keywords].
運用のコツは、Master Descriptionを別ファイル化してコピペ運用にすることです。毎回手で打つと揺れます。
参照画像の強度やSeedは「触れるなら使う/触れないなら代替」
参照画像の強度(Image Weight/Strength)が触れる環境では、キャラ固定を作る段階は強めに寄せます。大胆なアングルや激しいアクションを入れる前に、「正面~3/4程度の角度」で安定させるのが先です。
Seed固定ができる環境では、固定検証中はSeed固定、構図を大きく変える時だけSeed変更が扱いやすいです。Seedが触れない環境では、三面図参照とMaster Description固定を強化して代替します。漫画は量産なので、“環境依存のノブ”より“環境非依存の固定策”を主軸に置く方が事故りません。
画質と日本語文字を両立させる「ハイブリッド・プロンプト戦略」

漫画は「絵」と「文字」を同時に成立させます。ここを同じ文体で混ぜるほど、絵の解剖学が崩れるか、文字が誤字るか、どちらかが起きやすい。そこで、役割を分離して記述します。
Visualは英語、Textは日本語で分離する
Visual(構図、人体、背景、光、質感、画風、カメラ)は英語で固めます。Text(セリフ、擬音、看板やラベル)は日本語で書きます。重要なのは、同じ行・同じ文の中で混ぜないことです。ブロックを分けます。
コマ用テンプレート(混ざらない書き方)

コマごとに “Visual / Text” を分け、Textは短くします。長文セリフは誤字・潰れ・改行崩れの原因になります。説明はセリフに詰めず、コマ数で処理した方が結果が安定します。
コマテンプレ(例)
Visual: [Camera Angle], [Action], [Setting], [Lighting], [Mood] (English)
Text: "[セリフ]" SFX: "[擬音]"
「脱・紙芝居」のためのカメラワーク強制指定

AI漫画が退屈に見える最大の理由は、視点が動かないことです。正面・同距離・同じ高さが続くと、会話でもアクションでも“紙芝居”になります。人間の漫画は、意識して視点を切り替えています。これをプロンプト側で強制します。
アングルを「用途」で使い分ける
Establishing Shotは状況説明に使い、1ページ目や場面転換の大ゴマで効きます。Over the Shoulderは会話を漫画らしくする必須要素で、これが入るだけで“人が描いた感”が上がります。Close Up/Extreme Close Upは感情の増幅装置で、目や口元に寄せるほど効果が強い。Low Angleは威圧・ヒーロー感、High Angleは弱さ・不安、Bird’s-eye viewは位置関係の整理、Dutch Angleは緊張や不穏のアクセントに向きます。

1ページ内の最低ルール(単調回避の実務ルール)
1ページ内で最低3種類以上のアングルを使い、同じ距離・同じ高さが連続しないようにします。会話ページでも、肩越し→表情アップ→引きの全身、というように視点を動かします。アクションページなら、ロングで全体→ローアングルで迫力→極端アップで衝撃、のように“役割”で割り当てると安定します。
生成後に品質を上げる(Post-Processing前提)

一発出しで商用品質を狙うほど、時間がかかります。漫画は情報量が多く、破綻ポイントが多いので、最短ルートは「全体生成→崩れた箇所だけ修正→必要なら合成」です。ここを前提にしておくと、外れを引いても復帰が速い。
部分修正(顔・指・文字)は“対象だけ”を狙う

部分修正(マスクして再生成)ができる環境では、崩れた箇所だけをマスクします。成功率を上げるコツは、修正用プロンプトを“その部分だけ”に極端に寄せることです。全体プロンプトを再掲すると、他の要素まで動きます。
手の修正(例)
perfect hands, correct anatomy, five fingers, natural finger joints, clean lineart
顔の修正(例)
accurate face, consistent eyes shape, consistent hairstyle, clean lineart, natural expression
文字の修正(例)
clear readable Japanese text in speech bubble: "……"
high contrast, no misspelling, clean lettering
部分修正がない環境では、該当コマだけを切り出して再生成し、後で差し替える運用に寄せます(同じカメラ角・同じ構図指定で作り直す)。
背景分離(白背景→合成)は崩れ対策として強い
複雑な背景を入れた瞬間にキャラが崩れる場合、キャラを白背景で安定生成し、背景素材(写真、3D、別生成)と合成します。キャラ側のプロンプトに simple white background を入れて、背景由来のノイズを切ると安定します。工程として分けるだけで、完成までの時間が短くなります。
全自動漫画生成メタプロンプト Ver.6(コピー用)

ここからは、キャラ画像とテーマを渡すと、10ページ分の「各ページ用プロンプト」を出力させるためのメタプロンプトです。重要なのは、キャラ定義文と画風定義文を“毎ページ全文固定”にして、ページ間ブレを抑えることです。
Geminiに貼るメタプロンプト(V6)
あなたは「プロの漫画原作者」兼「AIアートディレクター」です。
私が提供する【キャラクター画像】と【テーマ】を元に、Nano Banana Proでそのまま使える全10ページの漫画生成プロンプトを作成してください。
## 制作要件 (NanoBananaPro Cinematic V6)
1) 言語指定 (Hybrid Strategy)
- Visual(キャラクター、背景、画風、カメラ、光、質感)は全て英語で記述。
- Text(セリフ、擬音)は日本語で記述(短く、引用符で囲む)。
2) カメラワーク(必須)
- Camera List:
Establishing Shot, Eye Level, Over the Shoulder, Close Up (Face),
Extreme Close Up (Eyes), Long Shot (Full Body), Low Angle (Heroic),
High Angle (Vulnerability), Bird's-eye view, Dutch Angle (Tension)
- 1ページ内で必ず3種類以上の異なるアングルを使用すること。
3) ストーリー構成
- Page 1: 強い導入(タイトルロゴ含む)
- Page 2-9: テンポ良い展開
- Page 10: オチ、または次への引き
4) 出力形式(厳守)
- 各ページごとにコピー&ペーストしやすい Code Block 形式で出力。
- 各ページのプロンプトには必ず以下を含める:
(1) HEADER
【IMAGE_GEN_ONLY】: Generate a high-resolution professional Japanese manga page. Full Color. Vertical 9:16 aspect ratio.
(2) STRICT CHARACTER CONSISTENCY(毎ページ、全文固定)
(画像を分析して作成したMaster Descriptionをここに、1文字も変えずに貼る)
(3) STRICT STYLE CONSISTENCY(毎ページ、全文固定)
(画風定義文をここに、1文字も変えずに貼る)
(4) PAGE NUMBER
Small clear text "X" in the bottom-right corner.
(5) PANEL LAYOUT(4〜8コマ)
## Panel 1:
Visual: [Camera Angle], (English)
Text: "[Japanese]" SFX: "[Japanese]"
(Panel 2以降も同形式で続ける)
(6) NEGATIVE
blurry, low quality, bad anatomy, malformed hands, gibberish text, watermark
## プロセス
1) まずアップロード画像を分析し、
- キャラクター定義文(英語)
- 画風定義文(英語)
を提示すること。
2) 次に、以下5方向性でストーリー案(タイトル+あらすじ)を提示すること。
- Trend / Context / Gap / Emotional / Chaos
3) 私がテーマを選んだら、10ページ分の各ページプロンプトを出力すること。

ページ出力の“完成形”テンプレ(そのまま使う)
メタプロンプトが出してきた各ページプロンプトは、最終的にこの形に揃えると運用が崩れません。
【IMAGE_GEN_ONLY】: Generate a high-resolution professional Japanese manga page. Full Color. Vertical 9:16 aspect ratio.
# STRICT CHARACTER CONSISTENCY (DO NOT CHANGE)
[PASTE MASTER DESCRIPTION HERE - DO NOT EDIT]
# STRICT STYLE CONSISTENCY (DO NOT CHANGE)
[PASTE MASTER STYLE DESCRIPTION HERE - DO NOT EDIT]
# PAGE NUMBER
Small clear text "3" in the bottom-right corner.
# PANEL LAYOUT & VISUALS
## Panel 1:
Visual: Establishing Shot, (English description...)
Text: "(日本語セリフ)" SFX: "(擬音)"
## Panel 2:
Visual: Over the Shoulder, (English description...)
Text: "(日本語セリフ)"
## Panel 3:
Visual: Extreme Close Up (Eyes), (English description...)
Text: "(日本語セリフ)" SFX: "ドクン"
## Panel 4:
Visual: Dutch Angle (Tension), (English description...)
Text: "(日本語セリフ)"
# NEGATIVE
blurry, low quality, bad anatomy, malformed hands, gibberish text, watermark
よくある失敗と、戻し方(詰まる場所はだいたい同じ)

キャラが似ない場合は、三面図参照を外していないか、Master Descriptionが毎回同一全文になっているかを最初に確認します。ここが揺れていると、どれだけカメラや画風を工夫しても安定しません。
構図が単調な場合は、アングル語彙を入れているだけで満足しているケースが多いです。1ページ内で最低3種類以上、会話なら肩越しを必ず1回、感情ならクローズアップを必ず1回、状況説明なら引きのショットを必ず1回、という“役割割当”に戻すと改善します。
日本語が崩れる場合は、セリフが長すぎる、文字が小さすぎる、背景がうるさく文字が沈む、のいずれかです。セリフを短く切り、吹き出しを大きく取り、必要なら文字だけを部分修正(またはコマ差し替え)に回します。文字は「一発で完璧」を狙うより「短くして当てに行く」方が総合品質が上がります。

おわりに(運用の結論)
Nano Banana Proで漫画を安定して仕上げる鍵は、才能やセンスではなく工程設計です。三面図で基準を作り、Master Descriptionを全文固定し、VisualとTextを分離し、カメラワークを役割で割り当て、崩れた箇所は部分修正か差し替えで処理する。これを制作ループとして固定すると、ページ数が増えても破綻しにくい運用になります。


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