「Sunoで稼ぐ」というと、どうしても「プロンプトのコツ」や「曲を大量生産する方法」に目が向きがちです。しかし、実務の現場で収益を上げているクリエイターが最初に固めているのは、制作手法ではなく「権利と導線」の設計です。
ここをあいまいにしたままスタートすると、「再生数は回っているのに収益として回収できない」「締め切りを過ぎて過去の分配金をすべて取り逃がす」「ある日突然、プラットフォームの審査でアカウントが止まる」といった事態が普通に起こります。
この記事では、Sunoで作った楽曲をビジネスとして成立させるための「原盤×著作権」の二本柱の立て方から、YouTube・TikTokで“生き残る”ための実務設計、そして最初の90日で回すべき最小実行プランまで、現場仕様のノウハウを徹底解説します。

音声のみはこちら↓
この記事でわかること(最短で理解する全体像)
この記事は、単なる「AI音楽の作り方」ではありません。作った音楽をいかにして「資産」に変えるかというビジネス設計図です。

Suno収益の「2本柱」と優先順位
収益には「原盤(録音)」と「著作権(作詞・作曲)」の2つの流れがあります。AI音楽においては、不安定な原盤収益よりも、確実性の高い著作権収益をどう積み上げるかがカギになります。
YouTube・TikTok・配信で“効く設計”が違う
プラットフォームごとに評価されるポイントは異なります。YouTubeでは「脱・量産」が求められ、TikTokでは「再生数より使用数」が重要になります。それぞれの攻略法を実務レベルで整理します。
まずやるべきは制作ではなく「権利と導線」
どんなに良い曲ができても、出口(収益の受け皿)が整備されていなければ1円にもなりません。制作を始める前に完了させておくべき「権利の固定」について解説します。
Suno収益の構造を“地図”で理解する

まずは、どこからお金が入ってくるのか、その全体像(地図)を把握しましょう。大きく分けて2つの柱があります。
原盤(録音)で取れる収益
これは「完成した音源データそのもの」から発生する収益です。
- 音楽配信: Spotify, Apple Musicなどでの再生回数に応じた収益。
- SNS音源利用: InstagramやTikTokの公式ライブラリから使用された際の収益。
- Content ID(YouTube): 自分の音源が使われた動画から発生する広告収益の一部(※ただし、後述するようにAI音楽ではハードルが高いです)。
著作権(作詞・作曲)で取れる収益
これは「歌詞やメロディ」から発生する収益です。
- 著作権使用料: JASRACやNexToneなどの著作権管理団体を経由して分配されます。
- 分配の仕組み: ストリーミングサービスや放送、カラオケなどで曲が使われると、プラットフォーム側が管理団体に支払った使用料が、著作者(あなた)に分配されます。
なぜ「原盤より著作権が堅い」と言われるのか

AI生成物は、プラットフォームによっては「人間が作ったものではない」として原盤権の支払いが低く見積もられたり、最悪の場合は支払われないリスクが議論されています。
一方で、著作権(特に作詞・作曲の登録を行ったもの)は管理団体のルールに基づいて分配されるため、プラットフォーム側の一存で無下にされにくいという特徴があります。Suno収益を安定させるなら、「著作権収益」の比重を高める設計が賢明です。
最重要:権利設計を最初に固定する(後戻りコストが高すぎる)
曲を作り始める前に、まず「権利の器」を用意します。ここが全ての土台です。
収益化できる権利状態のチェックリスト

まず、以下の前提をクリアしているか確認してください。
- Sunoのプラン: 商用利用可能なProまたはPremierプランに加入しているか。(無料プランで生成した楽曲の商用利用は規約上NGです)
- 権利の帰属: 生成された楽曲の権利が自分にある状態か。
- 第三者権利の侵害: 既存の歌詞や、特定のアーティストに酷似しすぎたプロンプトを使用していないか。
配信前に決める“スプリット”(権利分配率)
もし、作詞を誰かに依頼したり、友人と協力して制作する場合は、必ず「スプリット(分配比率)」を文書化しておきましょう。
AI音楽であっても、少しでも人間の手が加われば「誰が何%の権利を持つか」という話になります。「後で決めよう」はトラブルの元です。100%自分一人の場合でも、「作詞:自分、作曲:自分(またはAIツール使用)」といった記録を残す癖をつけてください。
締切・登録・メタデータが収益を左右する(カレンダー運用)

ここが実務上の最大のポイントです。TuneCore Japanなどの著作権管理サービスを利用する場合、「四半期の締切日」を絶対に意識してください。
- 締切日(例:各四半期の10日など): この日までに楽曲の届出申請が完了していないと、その期間(過去3ヶ月分など)に発生した収益が対象外になる可能性があります。
- 審査期間: 申請から登録完了までには時間がかかります。「締切ギリギリに申請」ではなく、「締切の2週間前には登録完了」を目指してカレンダーに予定を入れてください。
“AIっぽい大量生産BGM”から脱却する制作設計
2025年以降、YouTubeなどのプラットフォームは「量産型コンテンツ(Mass-produced)」への規制を強めています。単なる「AI量産BGM」は、スパム認定されるリスクが高まっています。
YouTubeが嫌う「低付加価値・反復」の構造

YouTubeの規約やガイドラインでは、「教育的価値や説明がなく、機械的に生成されたようなコンテンツ」は収益化の対象外になりやすいと明記されています。
「同じような画像、同じような曲調、意味のないタイトル」の動画を大量投稿するのは、今はもう「負け筋」です。
1曲ごとに入れるべき設計:用途・尺・展開
AI任せにするのではなく、人間の「意図」を設計図に入れます。
- 用途: 「作業用」ではなく「月曜の朝に聴く」「ランニングのラストスパート」など具体的に。
- 尺: ただ長いだけでなく、SNSで使いやすい「1分〜2分」のバージョンを作る。
- 展開: Aメロ・Bメロ・サビといった、楽曲としての起伏(構成)を意識して生成・編集する。
同系統量産でも差が出る「署名」(あなたの型)
ジャンルを絞って量産する場合でも、あなたの曲だとわかる「署名(シグネチャ)」を作りましょう。
- 特定の音色: 常に同じ楽器や効果音を入れる。
- 歌詞のトーン: 独特の言い回しやテーマ性を持たせる。
- これらが「作家性」として認識され、ファンがつく要因になります。
タイトル・メタデータもテンプレ丸出しを避ける
「Lofi Beat 001」「Relaxing Music 05」といったタイトルは、検索流入も弱く、プラットフォーム側からも「botによる投稿」と疑われやすくなります。
手間でも、1曲ごとに固有のタイトルと、曲の内容を表すディスクリプション(説明文)を設定してください。これが審査耐性を上げることにもつながります。
Content IDは“取れたらラッキー”で組む(過信しない)

YouTubeのContent ID(自分の曲が使われた動画から収益を得る仕組み)は強力ですが、Suno楽曲においては過信禁物です。
Content IDが通らない・剥がれる理由
Content IDには「参照ファイルは独占的かつ明瞭でなければならない」という要件があります。
- AI生成の特性: Sunoなどの生成AIは、似たようなフレーズやビートを生成する可能性があります。これが「独占的ではない(他と被る)」と判断されると、Content IDの登録が却下されたり、後から登録解除(剥がれる)されたりします。
- ループ素材: ドラムループや環境音に近いものは、そもそも登録不可です。
取れなくても死なない設計にする
したがって、収益計画をContent ID頼みにするのは危険です。
- **著作権(分配)**を確実に取りに行く。
- **原盤(配信・SNS利用)**でベースを作る。
- Content IDは「通ればラッキーなボーナス」と捉える。この優先順位で設計するのが、精神的にも収益的にも安全です。
TikTok/Instagramは「再生数」より“UGCで使われる設計”が勝つ

ショート動画プラットフォームでの勝ち方は、YouTubeとは全く異なります。
UGCで使われる曲に共通する3要素
狙うべきは、自分の投稿がバズることではなく、「他の人が自分の曲を使って動画を投稿してくれること(UGC)」です。使われる曲には共通点があります。
- 15秒で成立する: 最初の15秒に一番盛り上がるポイント(フック)がある。
- 冒頭のインパクト: スクロールの手を止めさせる「出オチ」や「キャッチーな歌詞」。
- 用途が明確: 「料理動画に合う」「ビフォーアフターに合う」「悲しい時に合う」など。
クリエイターが使いやすいテンポ・尺
動画編集者が使いやすいのは、「テンポ(BPM)が一定」で「尺の切れ目がわかりやすい」曲です。
Sunoで生成した後、DAW(音楽編集ソフト)などで前後の余白をカットし、使いやすい長さに調整してから配信登録する一手間が、採用率を大きく変えます。
用途テンプレ10本と「最初の火種」
曲をリリースしたら、自分でその曲を使った「テンプレート動画」を投稿しましょう。
- 例: 料理、ルーティン、育児日記、ペット動画、勉強風景など。
- 「この曲はこうやって使うと映えますよ」という見本(火種)を自分で作ることで、他のユーザーが真似して使い始めます。
“直接埋込で著作権が増える”は期待値を下げて検証する
「ブログやサイトにYouTube動画を埋め込むと、著作権収益が増える」という説がありますが、これには注意が必要です。
二重取りが起きにくい理由
一般的に、YouTubeの埋め込みプレーヤーで再生された場合、それはYouTube上での再生としてカウントされます。埋め込み先で別途、新たな著作権使用料が発生して「二重取り」ができるケースは、契約形態やサイトの規模など限定的な条件によります。
検証より先に「確実な回収経路」を固める
ここを細かく検証するよりも、2026年のテーマとしては「確実に取れる回収経路(JASRAC/NexTone等への登録・メタデータ整備)」を完璧にすることにリソースを割くべきです。ここがザルになっていると、どんなに埋め込まれても収益は発生しません。
レポートの見方を最初から決める(単価よりKPI)
漫然とレポートを眺めるのではなく、「ここを見る」というKPI(重要業績評価指標)を決めておきましょう。
YouTubeで見る指標
- 動画に使用された回数: 再生数よりも、どれだけ「素材」として優秀かを示します。
- Shorts比率: 現在のトレンドはShortsです。ここが高いならショート向けの尺を増やす戦略が取れます。
TikTok/Instagramで見る指標
- 音源使用動画数(Creations): これが最も重要な指標です。何人があなたの曲を使ってくれたか。
- テンプレ採用率: 自分で出したテンプレ動画がどれくらい使われたか。
共通KPI:ARPUと“伸び曲”の特徴
- 曲数あたり月間収益(ARPU): 全体の収益 ÷ 曲数 で算出します。これが下がっているなら、質の低い曲を出しすぎているサインです。
- 伸び曲の特徴: BPM、ジャンル、歌詞のテーマなど、数字が良かった曲の共通点を洗い出し、次の制作に活かします。
最小実行プラン(90日):Suno収益を「検証→勝ち筋反復」する
これから始める人のための、具体的かつ現実的な90日プランです。
フェーズ1(0〜2週):土台作り
- 方針決定: どのディストリビューターを使うか、著作権管理はどうするかを決めて契約・登録する。
- 締切管理: 直近の「四半期締切日」を確認し、カレンダーに登録する。
- ジャンル固定: 最初は2〜3ジャンルに絞る。あれこれ手を出さず、「型」を作る時期です。
フェーズ2(3〜6週):UGC最適化
- 15秒フック版の作成: フル尺だけでなく、TikTokやShortsで使いやすい15秒〜30秒バージョンを作って配信する。
- 用途テンプレ運用: 自分で自分の曲を使った動画を10本作り、SNSに投稿して反応を見る(料理、Vlog、作業用など)。
フェーズ3(7〜12週):勝ち筋の反復
- データの確認: どの曲、どのテンプレが少しでも伸びたかを確認する。
- 勝ち筋の横展開: 伸びた曲に近い雰囲気・BPMで20曲追加する。
- 評価: 単価(CPM)ではなく、「採用動画数」と「月間ARPU」で成否を判断する。
追加対策:Suno配信で詰む「AI 100%問題」と審査落ち回避策

最後に、実務者でも見落としがちな最大のリスクと、その対策について解説します。
TuneCore等の「AI生成のみ」への規制強化
TuneCore Japanなどのディストリビューターは、ガイドラインで「100% AI生成(プロンプト入力のみで生成され、人間による創作的寄与がないもの)」の配信に対して慎重、あるいは不可とする姿勢を強めています。
そのまま配信申請を出すと、審査で「AI生成物ですか?」「あなたの創作的寄与はどこですか?」と問われたり、最悪の場合は配信停止になるリスクがあります。
対策:人間の「創作的寄与」の証跡を残す

このリスクを回避するために、実務では以下の工程を挟むことを強く推奨します。
- 歌詞は自作する(または大幅にリライトする):AI任せにせず、自分で歌詞を書くことで「作詞:自分」という明確な権利主張ができます。
- DAWで編集・加工を行う:Sunoから出力した音源をそのまま出すのではなく、音声編集ソフト(DAW)に取り込み、EQ(イコライザー)調整、マスタリング、カット編集、あるいは環境音やSE(効果音)を自分で追加するなどの「エンジニアリング作業」を行ってください。
- 制作ログを残す:万が一、権利確認が入った場合に備えて、編集中の画面キャプチャや、自作した歌詞のメモ、プロジェクトファイルを保存しておきます。「私が手を加えて作りました」という証拠が、あなたの収益を守る盾になります。
まとめ:今日やることチェックリスト
最後に、読み終わったらすぐに動くためのチェックリストです。



- [ ] 24時間以内: 著作権管理・ディストリビューターの方針を決め、直近の「締切日」をスマホのカレンダーに入れる。
- [ ] 7日以内: Sunoで「型」となる曲を作り、TikTok/Shorts用の15秒版も用意する。
- [ ] 30日以内: 自分の曲を使った「用途テンプレ動画」をSNSに投稿し、最初のUGC(火種)を作る。
Suno収益は「一発当てる」ものではなく、「権利の畑を耕して、種(曲)を蒔き、水(UGC)をやって育てる」農耕型のビジネスです。正しい設計さえできれば、AI音楽はあなたの強力な資産になります。まずは土台の設計から始めましょう。


コメント