AIとの会話は、私たちの日常生活や仕事においてますます重要になってきています。
しかし、AIとの会話は、人間同士の会話とは異なる特徴やルールがあります。
AIと効果的に会話するためには、プロンプトエンジニアリングというスキルが必要です。
プロンプトエンジニアリングとは、AIに対して適切な入力や質問を与えることで、望む出力や回答を得ることができるようにする技術です。
この記事では、プロンプトエンジニアリングの基礎から応用までを紹介します。
プロンプトとは何か
プロンプトとは、AIに対して与える入力のことです。
プロンプトには様々な種類がありますが、大きく分けると以下の3つになります。
自然言語プロンプト
人間が普段使う言語でAIに話しかける方法です。
例えば、「東京の天気は?」や「明日の予定は?」などです。
自然言語プロンプトは直感的で使いやすいですが、曖昧さや多義性があるため、AIが正しく理解しない場合もあります。
プログラム言語プロンプト
コードやコマンドでAIに指示する方法です。
例えば、「print(“Hello World”)」や「sum([1,2,3])」などです。
プログラム言語プロンプトは明確で正確ですが、専門的な知識やスキルが必要です。
混合型プロンプト
自然言語とプログラム言語を組み合わせた方法です。
例えば、「Hello Worldを表示して」という自然言語に、「print(“Hello World”)」というコードを付け加えるなどです。
混合型プロンプトは自然言語の使いやすさとプログラム言語の正確さを兼ね備えています。
プロンプトの効果や特徴
AIの種類や能力によっても異なります。
例えば、検索エンジンやチャットボットなどのAIは、自然言語プロンプトに対応していますが、画像生成や音声合成などのAIは、プログラム言語や混合型プロンプトを使う必要があります。
また、同じ自然言語でも、文法や単語選び、文脈や目的によっても、AIの反応は変わります。
例えば、「猫」という単語だけでは、AIに何を求めているかわかりませんが、「猫の画像を見せて」という文では、画像検索の要求が明確になります。
したがって、AIとの会話術を学ぶためには、どんな種類や能力のAIと話しているか、どんな結果や回答を得たいかを考えて、適切なプロンプトを選ぶことが重要です。
プロンプトエンジニアリングの方法と手法
プロンプトエンジニアリングは、AIに対して最適なプロンプトを与えることで、望む出力や回答を得ることができるようにする技術です。
プロンプトエンジニアリングを行う際には、以下の基本的な考え方やステップを参考にすることができます。
目的を明確にする
AIに対して何を求めるか、何を達成したいかを明確に定義することが重要です。
目的が明確でなければ、適切なプロンプトを作成することもできません。
AIの能力を理解する
AIに対して与えるプロンプトは、AIの能力や性能に応じて調整する必要があります。
AIの能力を過大評価したり、過小評価したりすると、プロンプトが効果的に機能しない可能性があります。
プロンプトを設計する
目的とAIの能力に基づいて、プロンプトを設計することが次のステップです。プロンプトの設計には、以下のような要素やポイントが関係します。
プロンプトを評価する
設計したプロンプトをAIに与えてみて、出力や回答を評価することが最後のステップです。出力や回答が目的に沿っているかどうかを確認し、必要に応じてプロンプトを修正したり改善したりすることが重要です。
以上のような考え方やステップに加えて、以下のような方法や手法も参考にすることができます。
テンプレートやフレームワークを利用する
:テンプレートやフレームワークとは、あらかじめ決められた形式や構造に沿って入力や質問を作成する方法です。
例えば、「〇〇は何ですか?」や「〇〇と△△の違いは何ですか?」といったものです。
この方法は、簡単で効率的に入力や質問を作成できるメリットがありますが、柔軟性やオリジナリティが低くなるデメリットもあります。
サポートやヒントを利用する
サポートやヒントとは、AIに対して入力や質問を与える際に、補足的な情報や指示を付け加える方法です。
例えば、「〇〇は何ですか?(答えは3文字です)」や「〇〇と△△の違いは何ですか?(具体的な例を挙げてください)」といったものです。
この方法は、AIに対して期待する出力や回答の範囲や形式を明示することで、精度や品質を向上させるメリットがありますが、過度に制約や条件を与えると、AIの自由度や創造性を阻害するデメリットもあります。
フィードバックや評価を利用する
フィードバックや評価とは、AIに対して出力や回答を与えた後に、その内容や品質に対してコメントや評点を与える方法です。
例えば、「正解です!」や「5点満点で4点です」などのものです。
この方法は、AIに対して正しいかどうかや良いかどうかを教えることで、学習や改善の機会を提供するメリットがありますが、フィードバックや評価が不適切だったり、一貫性がなかったりすると、AIの混乱や誤学習を引き起こすデメリットもあります。
プロンプトエンジニアリングの応用と展望
プロンプトエンジニアリングは、AIに対して最適なプロンプトを与えることで、望む出力や回答を得ることができるようにする技術です。
プロンプトエンジニアリングは、様々なタスクや応用に利用することができます。
例えば、以下のようなものがあります。
情報検索
AIに対して特定の情報や知識を求める場合に利用できます。例えば、「日本の首都は?」や「ビットコインの現在の価格は?」などのものです。
文章生成
AIに対して特定のテーマや目的に沿った文章を生成させる場合に利用できます。
例えば、「自己紹介文を書いてください」や「この画像について説明文を書いてください」などのものです。
画像生成
AIに対して特定のテーマや目的に沿った画像を生成させる場合に利用できます。
例えば、「猫と犬が仲良くしている画像を描いてください」や「この文章に合ったイラストを描いてください」などのものです。
音声生成
AIに対して特定のテーマや目的に沿った音声を生成させる場合に利用できます。
例えば、「この文章を読み上げてください」や「このメロディーに歌詞をつけて歌ってください」などのものです。
対話
AIと人間が会話する場合に利用できます。
例えば、「今日はどんな一日だった?」や「好きな映画は何ですか?」などのものです。
これらのタスクや応用は、私たちの日常生活や仕事において有用で便利なものですが、プロンプトエンジニアリングにはまだ課題や限界もあります。例えば、以下のようなものがあります。
AIの理解力や推論力の不足
AIは、人間が持つような一般常識や背景知識を十分に理解したり、複雑な推論や判断を行ったりすることができません。
そのため、プロンプトに含まれる情報が不十分だったり、曖昧だったりすると、AIは正しく出力や回答を生成できない可能性があります。
AIの倫理や安全性の問題
AIは、人間が持つような倫理観や道徳観を十分に持っていません。
そのため、プロンプトに含まれる情報が不適切だったり、悪意的だったりすると、AIは危険や不快な出力や回答を生成する可能性があります。
AIの透明性や説明性の欠如
AIは、自身がどのように出力や回答を生成したかを十分に説明したり、根拠や理由を示したりすることができません。そのため、プロンプトに含まれる情報が不正確だったり、矛盾したりすると、AIは信頼性や信用性の低い出力や回答を生成する可能性があります。
これらの課題や限界を克服するためには、プロンプトエンジニアリングだけでなく、AI自身の技術的な発展や改善も必要です。
しかし、プロンプトエンジニアリングは、AIと人間のコミュニケーションや協働のために不可欠な技術です。
今後もプロンプトエンジニアリングの研究や実践は進んでいくでしょう。
まとめ
この記事では、プロンプトエンジニアリング入門として、以下の内容を紹介しました。
- プロンプトエンジニアリングとは、AIに対して適切な入力や質問を与えることで、望む出力や回答を得ることができるようにする技術です。
- プロンプトは、AIに対して与える入力や質問のことで、自然言語、プログラム言語、混合型の3種類があります。
- プロンプトエンジニアリングを行う際には、目的を明確にし、AIの能力を理解し、プロンプトを設計し、評価するというステップを踏むことが重要です。
- プロンプトエンジニアリングは、様々なタスクや応用に利用できますが、まだ課題や限界もあります。
参考元:
Prompt engineering overview | Microsoft Learn
Prompt Engineering | Lil’Log – GitHub Pages
Prompt Engineering Guide | Prompt Engineering Guide
Prompt Engineering for Natural Language Processing: A Survey
Semantic Kernel : Prompt Engineering Guide
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